ゲームパッドをATARI仕様に改造




MSX用のATARI仕様ジョイスティック/ジョイパッドは、ネットオークションやレトロゲームを扱うショップで見かけますが、未使用や状態が良い物は高額だったり、中古・ジャンクはボタンのゴムの劣化で反応が怪しい物もあります。
そこで身近にあるもしくは、手に入りやすい家庭用ゲーム機パッドをATARI仕様に改造(乗っ取り)するのが、このページになります。

※改造の失敗で、ゲームパッドが台無しになったやハード側が壊れたりしても自己責任になります。


ATARI仕様について


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基本的にゲーム機パッドは、このように基板にICチップや抵抗器が載っていたりと複雑に見えます。
この画像はスーパーファミコンのパッド。

 
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ATARI仕様ジョイパッドの基板はこのようになっており、ICチップや抵抗器といった物は一切使われておらず、スイッチをON/OFFするだけの単純な構造になっています(連射機能付きは除く)。
これを参考に他のゲームパッドを改造したり、パーツを集めてアーケードスティックを自作することもできます。
ただし、この改造・自作にははんだごてを扱えることが重要になります。
小中学校の工作ではんだごてを使ったことがあると思いますが、これが苦手で自信がないという方は、はんだ付けが得意な人に頼んでみるなど。
もう一つは、ネットオークションで改造品が出品されることがあるので、そちらを頼るというのもあります。


ATARI仕様の図面


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ATARI仕様ジョイパッドを図面にするとこうなります。
主に使うのは、

FWD(UP)
BACK(DOWN)
LEFT
RIGHT
TRG1(OUT1)
TRG2(OUT2)
GND

で、方向ボタンで上を押したら「FWD」と「GND」が接触方向ボタンの右を押したら「RIGHT」と「GND」が接触Bボタンを押したら「TRG2」と「GND」が接触という感じになっています。
+5Vは連射装置を組み込む場合に使いますが、扱いには気をつけてください。


改造例


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スーパーファミコンのゲームパッドを改造するとして、この画像は基板の必要なパターン(線)を図面に起こしたものになります。


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ATARI仕様の図面を参考に[基板] ⇔ [リード線] ⇔ [9ピンケーブル]で繋ぐと、このような感じになります。
この例ではYボタンにTRG2、BボタンにTRG1となっていますが、改造なのでY/XX/AB/Aなど自由にボタン配置を選ぶことができます。

 
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そして、この基板にはんだごてでリード線を繋ぐ作業が難しい所で、技術の進歩によって基板やICチップが小型になっていくと、更に改造が難しくなっていきます。
私の場合は、家庭用ゲーム機で第6世代以降やUSBゲームパッドは、細かすぎて改造は無理となっています。
画像は基板にICチップのピンを残したまま取り除き、その残ったピンにリード線を繋いだ例。
もう一つは、ICチップを残したままリード線を繋げていますが、使わないピンはカットしています。
後者の残すやり方は多少失敗してもやり直しが利くはず……。
はんだ付け後にテストプレイで操作に問題が無ければ、その部分をグルーガン(ホットボンド)で固めておくといいようです。

※ICチップをラジオペンチとかで無理に剥がそうとすると、ピンどころか基板のパターンも剥がれてしまうので注意です。


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基板にリード線を繋いだら、あとはそのリード線と9ピンケーブルを繋げるだけです。


9ピンケーブル

接続に必要なゲーブルについて。

【RS-232ケーブル】

 
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RS-232ケーブルはパソコンで使う物ですが、これを流用することができます(片方の接続コネクタが必ずメス形であること)。
ただし、このケーブルにはストレートケーブルとクロスケーブルがあり、使えのるはストレート全結線になります。
パッケージ入りだとストレートかクロスの説明が書かれていますが、裸の中古・ジャンクだと見分けが難しいところ……。
また、9ピン(メス形)に対してUSBプラグ、LANプラグ、ミニDINコネクタ、オーディオプラグ、特殊コネクタになっている物は、結線の本数(中のリード線)が足りないので使えません。
ついでに耳ありなので、一部では接続ができないことがあるので注意です。
このRS-232ケーブルは、リサイクルショップのパソコン関連(ケーブル類)にありますが、今では見かけることが少なくなっているようです。

【ゲームパッドのケーブルを流用】


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ゲームパッドのケーブルを流用するもので、ケーブルの中を通っているリード線が7本あること。
しかし、リード線の本数が足りずに使えないことが殆どだったりします。

【マークIII/マスターシステム/メガドライブのケーブル】



ボタンがペコペコの使い古されてたゲームパッドから引っこ抜いてくるというのもありますが、今ではジャンク品でも見かけないので手に入りづらいかもしれません。
ネットオークションではデッドストックになったケーブルのみが出品されることもあります。

【同人ハード系】



同人でATARI仕様へ改造するためのケーブルが出ていることもあります。
耳なしでマニュアルにはケーブルの仕様が書かれているなど、直ぐに使うことができます。
ただし、同人なので在庫がいつでもあるとは限りません。


リード線



リード線は細い・太いとありますが、精密用などの細い方が扱いやすいです。
腕に自信があるなら基板と9ピンケーブルを直接はんだ付けするのもありです。
リード線同士を繋げた部分は収縮チューブを使うかテープで巻くなど保護を忘れずに。


工具



必要な工具はドライバーセット、はんだごてセット、カッターやニッパーなど。
はんだごては100均(300〜500円?)で売っている物でも十分で、細かいはんだ付けができるようにこて先が尖がっていること(こて先は交換可能でホームセンターとかで売っています)。
テスターは断線チェックやRS-232ケーブルのリード線で、どれがUPやDOWNになるのかを調べるのに使います。
高い物で5000円以上や1万超え、安いのでは2000〜3000円程度や500円くらいなどもあるようです。
身近にテスターを持っている人がいれば貸してもらうなどありますが、500円くらいの安物は「計測がおかしい」「直ぐに壊れる」など、あまり良い話は聞かないとなっています。


カメラを活用


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ゲームパッドから基板を取り出して、どのパターンがUPやDOWNになるのか探すことになりますが、これが見づらい・目が痛いとなってきます。
電子機械などの修理でデジタル顕微鏡という便利な物はありますが、手元にあるスマートフォン/タブレットやデジタルカメラなどで基板の写真を撮り、それを拡大して見るというのもあります。
また、撮った写真をパソコンへ転送して、ペイントソフトなどで基板のパターンをなぞって色付けするなど。
画像サイズは5M(2560×1920)〜10M(3648×2736)辺りでも十分見やすいと思います。


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ちなみに、パターンが枝分かれのようになっていたら全て確認して、他のボタンのパターンと繋がっていないことを確認してください。
もし、画像のようにBボタンとAボタンのパターンが繋がっていたら、カッターなどでカットする必要があります。


家庭用ゲーム機パッド

【ファミリーコンピュータ】



このゲームパッドをATARI仕様へ改造するユーザーはいるので可能のようです。
B/Aの2ボタンが四角でゴム製の初期型円形でプラスチック製に改良された物があり、改造するなら後者になります。
ゲームパッドはゲーム機本体と直接接続となっていますが、ネットオークションではゲームパッドのみが出品されることもあります。
また、周辺機器でハドソンのジョイカードを改造するユーザーもいるようです。

【スーパーファミコン】



中古・ジャンクでよく見かけるゲームパッドなので、RS-232ケーブルとの組み合わせなら、その日のうちに改造することも可能です。
スーパーファミコン互換機のゲームパッドやレトロ調の似たようなUSBゲームパッドもありますが、これらは改造が難しく、本家と比べて耐久性も微妙なのでお薦めはしません。

スーパーファミコンパッドをATARI仕様へ

改造はこのページで紹介した内容になります。

【AV仕様ファミリーコンピュータ】



通称ニューファミコン。
スーパーファミコンの後に登場した影響か、ゲームパッドの形がそれに近い感じになり、ゲーム機本体と着脱可能となっています。

AV仕様ファミリーコンピュータパッドをATARI仕様へ

改造はこのページで紹介した内容になります。

【メガドライブ】



メガドライブパッドはサイズが大きめの初期型パッドと、コンパクトになったファイティングパッド6Bがあります。

自作アダプタでメガドライブパッドをATARI仕様へ

内容は結線の1本を繋ぎ変えるという単純な自作アダプタで、はんだ付けの難易度は低い方になります。
似たような物でCAPCOMからCPSF-PCという変換アダプタが発売されていました。

初期型メガドライブパッドをATARI仕様へ

基板に接続されたリード線を抜いて繋ぎ変える改造です。
はんだごてを使いますが、これも難易度は低いです。

【セガサターン】



メガドライブのファイティングパッド6Bのサイズを大きくし、持ちやすくした感じになります。
パソコン用に復刻版が出ていればパチモンもあったりしますが、これらを改造するのはお薦めしません。

セガサターンパッドをATARI仕様へ

改造はこのページで紹介した内容になります。

【プレイステーション】



初代プレイステーションの初期型パッドの改造になりますが、個人的にこれはあまりお薦めではないところ。
その理由は、型番によってははんだ付けが難しく、もう一つは方向ボタンが十字キーと違ってそれぞれ独立したボタンになっていることです。
この独立した方向ボタンは、親指の力加減によっては左右の同時押しができてしまい、これをやってしまうと入力が受け付けなくなり、操作していたキャラの動きが止まってしまうなど厄介なところがあります。
特に方向ボタンをグリグリ押して操作するアクションやシューティングだと、プレイ中に事故る可能性が高いです。
なので、このゲームパッドを改造してレトロパソコンゲームをプレイするのには、向いていないと思います。

プレイステーションパッドをATARI仕様へ(SCPH-1080)

改造はこのページで紹介した内容になります。

【アーケードスティック】



市販のアーケードスティックを改造するというものです。
はんだ付けの経験はあるが細かいのは無理という方でも、改造は可能だと思います。

アーケードスティックをATARI仕様へ

改造はこのページで紹介した内容になります。


その他

製造時期によっては基板のICチップやパターンが異なることもあります。
中古・ジャンクのゲームパッドは触ってみて、状態が良い物を選んできてください。


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