Qvision Wave Master
Qvisionが発売したSCSIとサウンドを1枚にまとめたWave Master(ウェーブマスター)です。
数あるサウンドボードの中でPC-9801-86との互換性は高いそうで、東方旧作の曲の演奏に問題はありません。
ただし互換性が高いであって、一部でまともに音が鳴らないDOSゲームがあるなど、完全互換ではないようです(SOUND BIOSも非搭載)。
PCM音源チップはCS4231を搭載し、エミュレーションで86PCMを再現していますが、DOSゲームによっては音量が小さくなるようです。
後継品としてWave SMITがあります。
ちなみに、SCSIをグラフィックアクセラレータに置き換えたWin Duoというボードもあります。
型番:QV-WVM
動作環境
CPU:i386以上の機種
OS:MS-DOS 3.3〜6.2、Windows 3.1、Windows 95、Windows NT3.5
対応機種:PC-9800/EPSON PCシリーズ
ROM
このサウンドボードには交換可能なROMがあり、WM**Xはサウンド ROM、WMSC**はSCSI ROMとなっています。
今のところ確認できるROMバージョンは以下のとおりになります。
【ROMバージョン】
サウンド ROM
WM12X
WM15X
WM16X
SCSI ROM
WMSC01
WMSC02
WMSC03
WMSC05
WMSC06
WMSC07
WMSC07でMMX Pentiumに対応し、これが最終バージョンのようです。
音源チップ
音源チップはYM2608で86音源。
背面側
左からSCSI、JOYSTICK、MIC、LINE IN、VOLUME、PHONE
SCSIはメモリを16MB以上搭載すると正常動作しなくなり、起動時に表示されるIDチェック画面で止まります。
スイッチ設定メニューで設定することで回避できるみたいですが、このインタフェースを使わないならディップスイッチでSCSI機能を無効にしてください。
ちなみにメモリ16MB以下でも止まることがあり、これが実装する機種もしくは、ROMバージョンによる影響なのかは不明です。
JOYSTICKはATARI仕様なのでMSXのジョイパッドが使えます。
設定
ディップスイッチ
工場出荷時の設定
SCSIを使用しないならスイッチ2をOFFに設定。
OFFにすることでIDチェック画面も表示されなくなりますが、同時に後述のソフトスイッチも起動しなくなり、SCSIとサウンドの細かい設定もできなくなります。
※対応パソコン
※ディップスイッチ設定
キーボード操作
【ソフトスイッチの起動】
ディップスイッチでスイッチ2をONに設定。
キーボードのCTRL + GRAPH + Sを押しながらPC-9800の電源を入れ、認識するとソフトスイッチ(スイッチ設定メニュー)が起動します。
【SCSIパラメーター自動取得】
ディップスイッチでスイッチ2をONに設定。
SCSI IDチェック中にキーボードのCTRL + GRAPH + Pを押すとパラメーター自動取得モード。
MIDI Master
このWave Masterには、同社が発売したMIDI Master(ミディマスター)を実装できるソケットがあります。
載っているチップはYAMAHA OPL4でGM音源。
しかし、DOSゲームでは互換性が低かったようで、封魔録のMIDIは鳴りませんでした。
他のDOSゲームでも鳴ったとしても、ノイズが入るなど音質は良くないようです。
パッケージ裏によると、Roland MPU-PC98のUARTモードとGM規格システムレベル1をサポートしているとのこと。
型番:QV-MOP
ちなみに、このMIDI Masterは一見するとMIDI音源サブボードのように見えますが、接続コネクタが異なります。
そのため実装できるサウンドボードは、Wave MasterとWin Duoだけのようです。
ドライバ/ソフト
フロッピーディスクでユーティリティソフトが付属しています。
NECの標準ドライバも使えるそうですが動作保証はありません。
MS-DOSではドライバ無しで靈異伝から怪綺談まで曲が演奏されます。
フリーソフト
【VRMD】
URL:http://www.vector.co.jp/soft/dos/art/se027512.html
動作確認
【MS-DOS 3.3/5/6】
靈異伝 OK
封魔録 OK
夢時空 OK
幻想郷 OK
怪綺談 OK
その他
このWave Masterのパッケージまたは宣伝チラシのような物で、載せている写真は試作品なのか、各チップやROMの位置がかなり異なっています。
ディップスイッチ以外にジャンパーピンもあったようで、製品版の基板にはその名残らしきものが見られます。